レポート
2023.11.01
みなさま、こんにちは!
ハイライフモナコ事務局のセレアです。
さて、色々とありつつも順調に航海を続けていたウィトックですが、船はカナダまで到着しました。カナダまでといっても北極圏ではグリーンランドのすぐ隣がカナダです(地球儀の上の方を見てもらえればわかります)。
カナダはヌナヴト準州にあるフォートロスに立ち寄ったようです。
以下、ウィトックからのレポートをご覧ください。
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今年は日本もヨーロッパも猛暑だったようですが、私たちは北西航路旅行のおかげで、涼しい(寒い)夏を過ごすことができました。
カナダに入国してすぐに立ち寄ったサマーセットアイランドのフォートロス(Fort Ross)では、愛犬タフィーが久々に陸の上をお散歩。人間では感知できない匂いがたくさんしていたようで、寒いながらもとても生き生きと歩いていました。
このフォートロスには、ハドソンズベイカンパニー(Hudson’t Bay Company)の最後の交易所があります。下の写真中央奥に見えるのが、その交易所です。
ハドソンズベイカンパニーは、毛皮貿易のために1670年にイギリスで設立された会社です。ハドソン湾に流れ込む全ての河川領域で毛皮独占取引権を与えられ、その地域を初代総督ルパートの名にちなんでルパーズランド(Rupert’s Land)と名付けたそうです。
Wikipediaより。上のピンクの部分がルパーズランド。
赤い星が今回訪れたフォートロス。
当初はこの領域内に交易所を6か所作り毛皮貿易をしていましたが、貿易基準を採用することでどこでも同じ価値で毛皮を買い取れるようになりました。その基準をメイドビーバー(Maid Beaver)略してMBと呼び、冬の間に獲れたオスのビーバーの皮(高品質)1枚を1MBとしてカウントし、漁師や猟師は動物の毛皮を集めて交易所に持ち込んだそうです。毛皮も、リスなどの小さい動物から、カワウソ、ヘラジカまで、それぞれが何MBに値するかという基準がありました。たとえば、カワウソの毛皮2枚が1MBなど。
ここでは貨幣ではなく物々交換が行われ、毛皮を差し出せばそれに相当する食料や日用品を交換できたということです。こうしてヨーロッパの漁師やイヌイットと呼ばれる先住民族は毛皮貿易に従事していました。
ハドソンズベイカンパニーが最後に建てたのが、このフォートロスの交易所で、1937年のことでした。しかしながら、厳しい環境とアクセスの難しさからわずか11年で交易所としての役割を終えることに。
このフォートロスでは、私たちが訪れる数日前に、ホッキョクグマが5頭も出没したそうですよ!
船では近づけないため、小さなゴムボートに乗り換えて岸に着きました。
また、ここではたまたまカヌーを漕いで1ヶ月かけて北西航路を横断中の5人組と出会いました。その中には女性も1人いて、5人のフィジカルはもちろん、メンタルの強さに驚きました。
フォートロスを後に、私たちはアラスカ方面へと向かいます。