エッセイ
2026.07.28
社交界って、どんな世界ですか?」

モナコで暮らすようになってから、一番多くいただく質問かもしれません。
テレビや雑誌では、華やかなドレスに身を包み、ジュエリーをまとい、
シャンパンを片手に談笑する様子がクローズアップされます。
確かに、それも社交界の一面です。
でも、実際にその世界に身を置いてみて私が感じたのことは、
「華やかさ」よりも「人とのコミュニケーション」が何より大切にされる世界だということでした。
ガラディナーでは、何時間も同じテーブルを囲みます。
最初の頃の私は、とても緊張していました。
何を話せばいいのだろう。
どんな話題なら楽しんでもらえるのだろう。
そんなことばかり考えていたのを覚えています。

でも、少しずつ分かってきたことがあります。
それは,社交界の方々は、決して表面的な会話を好まないということです。
旅行、美術、音楽、バレエ、チャリティー、文化、最近訪れたレストラン……。
話題は実に幅広く、そして何より、「あなたはどう思いましたか?」という問いが自然に交わされます。
正解を求められているわけではありません。
その人が何を感じ、どのような価値観を持っているのかを知りたいのです。
だから私も、美術館へ行く前にはアーティストについて調べ、
バレエを観る前には物語や振付家について予習するようになりました。
旅行も、「どこへ行ったか」より、「そこで何を感じたか」を大切にするようになりました。
そして、日本で育った私は、自分の意見を伝えることに最初は少し戸惑いがありました。
けれど最近は、「私はこう感じました」と、自分の言葉で話すことを意識するようにしています。
すると、不思議なほど会話が広がり、相手との距離も自然と縮まってきた気がします。
ということで、「社交界って、どんな世界ですか?」という私なりの答えは、単に華やかな場所ではなく、
人柄や教養、思いやり、そして品格が自然と表れてしまう場所であるということです。
だからこそ、私自身、これからも学び続け、内面を磨き続けていきたいと思っています。
